国土調査によって合筆された土地の権利証について

知り合いから質問のあった事例です。
参考にブログに残しておきます、実際にトラブル等に巻き込まれたら一般事務員ではなく専門家に質問した方が幸せになれます。

事案

  1. 質問者は土地を2つ(2筆)所有していた。
  2. 自治体の地籍調査事業により、2つの土地を1つの土地として扱う手続き(合筆登記)ながされた。
  3. 土地を売却するために土地の権利証が必要だが合筆されてしまったので現在の土地の権利証がないのでどうすればいいか。

原則

  1. 通常、2つ以上の土地を1つとして扱うために合筆登記がなされると、合筆後の土地について「合併による所有権登記」がなされた新しい権利証(現在は登記記録に対する登記識別情報のみ)が発行される。
  2. 売却に伴う所有権移転登記には現在の土地の状態に合った権利証(登記識別情報)が必要になる。
  3. 地籍調査(国土調査)に伴う合筆登記では新しい状態の権利証(登記識別情報)は発行されない。

対処

では所有権の移転登記をするにはどうしたらよいか。

法務局の担当者からの質問に対する法務省民事局長の回答(第2765号)によると、合筆がなされる前の土地全ての権利証を添付すればよいとのこと。
この場合既に自分が持っている2つの土地の権利証全てを持って行けば所有権の移転登記をすることができる。

おまけ

民事局長回答第2765号は通常の登記官による職権登記にも準用される模様。
なんらかの事情で複数の土地が1つにまとめられてしまっても慌てず騒がず全部の権利証を使えばいいようです。

何回か書きましたが昔の権利証(権利書)は現在「登記識別情報」というただの文字列情報になっています。
司法書士さんによっては登記識別情報を権利証というパッケージにして渡してくれるところもあるかもしれません。

愚痴

所有者の知らない間に土地がまとめられちゃうってどういうことよって気もしますので、事業をする際にはちゃんと土地の所有者に説明してあげてください。
つか、説明するのが専門家ってもんでしょう?